引越し準備と当日の流れ

住宅・トラック・荷物の模型による引越しのイメージ画像
新旧居の入退去の予定が見えたら、いよいよ引越しの手配・準備を始めます。引越しは、多くの作業があり時間がかかりますが、スムーズな引越しに向けて、しっかりとした事前準備で臨みましょう。

引越しをスムーズに行うために必要な準備

引越しをスムーズに行うためには、さまざまな準備が必要になります。あまり引越しの経験がない人は、いろいろと心配になるかもしれません。やり忘れがあって急遽の対応に奔走することにならないか、準備不足で新居への搬入が混乱してしまわないか、とりあえず荷物は運んだもののその後の段取り不足で途方に暮れたりしないか、など……。そんなことにならないように、必要な準備をもれなく行いましょう。やるべきことはたくさんあるので大変に思えますが、一つひとつ順序立てて確実にこなしていけば、最終的には効率的でスムーズな引越しが行えます。

 

1.引越し会社の選定

引越しの日程がおおむね見えたら、引越し会社に引越しの依頼をします。引越し希望日、荷物の内容、旧居・新居の住所など必要な情報を伝え見積もりを出してもらいます。このとき必ず複数の会社に見積もりをお願いして、できるだけ同じ条件でサービス内容・価格などが比較検討できるようにしましょう。3月下旬など込み合う時期には指定日時に予約が取れないことがあるので、できるだけ早めに連絡しましょう。

 

2.荷物の選定

おおまかな荷物の種類と数量は、引越し会社に見積もりを頼む段階で把握しているはずですが、実際の引越し準備としては、細かな荷物の選定を行います。衣類・食器類・書籍類・生活雑貨などについて、持っていく物、捨てる物(人にあげる物)を選定します。

 

さらに引越し会社に頼まずに自分で運ぶ物があるならば、それもより分けます。選定の結果、荷物量が見積もり時と大きく変わるのなら、必ず引越し会社に連絡しましょう。引越し会社の車両やスタッフの手配が違ってくると、当日現場が混乱してその時点で作業がつまずいてしまいますし、料金が変わる可能性もあります。

 

3.ゴミの廃棄手配など

荷物の選定が終わり、捨てる物が選別されたらそれらの廃棄手配をします。通常のゴミ収集で捨てられる物は、居住地の分別ルールに従って捨てればいいのですが、引越し日までに収集日が何日あるのかを確認して、できるだけ早めに捨てるようにしましょう。もしも収集日が過ぎてしまったら、ゴミも一旦新居に運ばなければならなくなります。

 

同様に、通常収集で廃棄できない大きな物や特殊な物は別途有料の廃棄手配をします。例えば粗大ゴミは規定の費用を支払って自治体に回収処分の申し込みをしますが、回収日は申込者が自由に決められませんので、こちらも早めの申込みを心がけた方がいいでしょう。人にあげる物も引越し前に渡す段取りを組んで、引越し荷物を減らすようにしましょう。

 

4.転出・転居届

居住地を移転するときには、役所への届出が必要になります。移転が市区町村を跨ぐ場合には、現居住地を管轄する役所で「転出届」を提出して「転出証明書」を発行してもらわなければなりません。「転出証明書」がないと新居住地での「転入届」を受け付けてもらえないからです。引越しをしてからでは、元の居住地の役所にわざわざ行かなければならなくなるので、事前に済ませておきましょう。

 

同じ市区町村内での移転の場合は、その管轄役所に「転居届」を出せば済むので、決められた期間内に一度手続きに行けばOKです。

 

5.水道・光熱・通信などの解約手続き

旧居で使用していた電気・ガス・水道といったライフラインの解約・停止手続きを行います。それぞれ連絡方法や停止までの必要日数などが違いますから、サービスごとに供給会社に確認しましょう。このほか固定電話の移転、インターネットのプロバイダ解約(変更)、郵便物の転送、新聞購読の解約、NHK受信料支払などについても必要に応じて連絡・手続きが必要になります。同じように、新居での使用手続きもすべて必要なので忘れずに。

 

6.新居のレイアウト確定

引越しで運ぶ家具、電化製品、装飾品などを新居のどの部屋のどの位置に置くか、事前に決めておきます。この作業により、搬入する荷物が収まりそうかがわかりますし、荷物として忘れていた物や買い足さなければならない物を思い出すことがあります。

 

7.荷造り

運ぶ物の荷造りをします。荷物がまとまったら、「6」で決めたレイアウトに従って新居の間取り図を使った荷物の配置図を簡単に作ります。具体的には、間取り図の中の荷物の配置場所に番号(記号)を記入していき、一方で実際の荷物に同じ番号(記号)を記していきます。こうすることで、誰でもその荷物の新居での置き場所がわかるようになります。これを当日引越し会社の人に渡せば、いちいち依頼主に置き場を確認しなくても運ぶ手順を自分たちで確認しながらスムーズに運び入れてくれます。引越し会社の人も助かりますし、依頼主である自分もそれを見ながら間違いなく運ばれているかを確認すればいいだけなので、お互い楽になります。

 

また、エアコンや冷蔵庫、洗濯機といった、取り外しに技術や知識が必要な物、運び出す前に何らかの処置・準備が必要な物については、専門業者に依頼しておくか、引越し会社が当日対応してくれるのかを確認しておきましょう。

 

8.新居の清掃

引越し当日を迎える前に、新居に出向いてひと通りの清掃をしておきましょう。事前に鍵の引き渡しを受けているはずですから、新居に入ることはできます。ハウスクリーニングや壁紙の張り替えなど、入居者を迎えるための準備は整ってはいますが、細かなほこりなどまでは行き届いていないかもしれないので、荷物を運び込む前に配置などの確認がてら清掃することをおすすめします。

 

9.搬入環境の確認

引越し当日を想定して、作業に支障がない環境かどうかを確認します。前面道路はトラックが入れる道幅があるか、または駐車しておけるスペースがあるか、住居までの間に階段や段差など運搬しにくいとか余計な労力がかかるような箇所がないか、2階以上の集合住宅の場合搬入に使えるエレベーターがあるか、玄関は全て荷物が入る幅・高さがあるか、といったことを確認します。もしも心配な箇所があったら、引越し会社に連絡します。場合によっては追加料金がかかることにもなりますが、伝えていないと、当日その状況に対応する準備がないために作業を断られてしまったり、必要な設備を急遽取り寄せるなどでの大幅な作業遅延が起きたりする可能性があります。その分は当然料金が追加されますから、気を付けましょう。この確認は、新居の清掃に行く日に合わせて行うといいでしょう。

 

10.引越し料金の精算について

引越し会社によって、作業料金の精算をいつするのか、支払い方法はどのような形かが異なることがあります。作業の前に払うのか、全て完了してからの清算なのか、現金かクレジットカードの利用がOKかなどです。それによって、事前に金融機関で現金を引き出して準備しておく必要が出てきます。

旧居を退去するときの注意点

旧居からの退去をイメージしたトラックと荷物の模型画像

ここからは、引越し当日に気を付けるべきことを記していきます。まず、旧居を立ち退くときの注意点です。

 

【荷物の数と傷のチェック】

引越し作業中に、荷物の行方が分からなくなったり、家具などに傷がついたりというトラブルが起きることがあります。そのようなことが起こらないように、また起きてしまったときにすぐに対処できるように、事前に荷物の数と家具などの傷の有無を把握しておくことが必要です。

荷物の数については、荷造りの時点で作成する新居での荷物の「配置図」が役立ちます。加えて段ボール箱梱包の荷物については、中に何を入れたかまで詳細に記録しておくと小物の紛失も防げます。

 

【搬出後の清掃】

今まで住んでいた家を退去するときには、それまでの感謝の気持ちや思い出を振り返りながら、室内をきれいにしていきたいものです。そのため、荷物の搬出が終わったら掃除ができるように、最低限の清掃道具は残しておきましょう。例えば、清掃道具だけ浴室に保管しておき、「浴室内は搬出しないでください」と引越し会社に伝えておくなどするといいでしょう。

 

【退去時の立会いについて】

「退去時の立会い」とは、借主・貸主(管理会社)が借主の退去時に、住居の状態を確認するために集まることを言います。具体的には、借主の入居中に発生した室内の傷や汚れについて、通常の使用範囲での損耗、経年による劣化なのか、暮らし方や使用の仕方が悪いために発生したものなのかを見極めていきます。その結果、原状回復義務を借主・貸主のどちらが負うべきかを判断します。その内容に基づいて、入居時に支払った「敷金」が精算され、借主の原状回復負担分を差し引いた金額が返還されます。

 

退去時の立会いは引越し当日に行います。ですから、事前に引越し会社におおよその搬出終了時間を確認して貸主(管理会社)に伝え、立会いに集まる時間を設定します。貸主(管理会社)にも都合があるので、できるだけ早い段階で引越し日時を伝えるようにしましょう。どうしてもその日に立会いができないとなれば、後日となってしまいます。それはできるだけ避けましょう。

 

確認・精算内容に承諾したという書面に署名捺印が必要なので、ペンと印鑑は手荷物に持っておきましょう。退去時の立会いが終わると、すぐに新居に移動しなければなりません。マイカーなど、自分で移動手段を持っている場合は問題ありませんが、バスや電車を乗り継ぐと搬入作業が完了する前に到着できないことも考えられますから、タクシーの利用なども必要かもしれません。家族での引越しの場合は、旧居・新居で二手に分かれて対応すれば問題ありませんが、単身の場合は一人で両方に対応することは難しいので、誰か手伝ってもらえる人を頼んでおくことが必要でしょう。

新居への荷物搬入時の注意点

続いて新居に荷物を搬入するときの注意点です。

 

【準備での協力と的確な指示】

引越し作業は、基本的には引越し会社のスタッフがやってくれるものですが、無駄なく効率的に進めるためには、依頼主もできるだけ協力しましょう。そうすることで、予定よりも早い時間に搬入が終わり、その後の荷解き作業を早く始められたり、ひと息つけたりという余裕が生まれる可能性が高くなります。

 

具体的には、まず不明な部分はなるべくつくらないことです。すでに説明したように、最終的な運ぶ荷物の量・種類を正確に伝えておく、搬入先の環境を伝えておく、荷物の配置場所が誰でもわかるように配置図と番号での照合ができるように準備しておく、ということを準備段階でやっておきます。

 

ここまでできていれば、当日はその他細かな確認事項を聞かれたらすぐに答えればいいだけです。事前準備でやるべきことが頭に入っていれば、たとえ伝え漏れがあったとしても、的確な指示を即答できると思います。あとは、いつでも対応できるように現場から離れないようにしましょう。

 

【搬入の状況で荷解きタイミングを考える】

基本的には、荷物の搬入が終わるまで荷解きしないようにしましょう。一番の理由は、搬入している横で段ボール箱の開封作業などをしてしまうと邪魔になるからです。ただし、部屋ごとに搬入が進むならば、運び終わった部屋からは荷解きを始めてもあまり問題はありません。

 

しかし、そのときには荷解きをする順番は考えましょう。例えば配線と接続が必要な電化製品から整えて起動確認する、壊れ物が入った段ボール箱を開封してまず中身の無事を確認する、棚やタンスが設置された箇所から中にしまうべきものを順番に開けていく、トイレ・浴室・キッチン回りなどすぐに使いたい場所の物から開けていくなどです。無計画に段ボールを開けていくと散らかるばかりで収拾がつかなくなるので注意しましょう。

 

【すぐに使う物は分かりやすく】

すぐに使う物、例えば最低限の食器や台所用品、浴室、トイレ、洗面用品などは分かりやすくしておきましょう。できるだけ一つの段ボール箱にまとめておくとよいです。

 

他にその日に必要な物として、カーテン、照明器具などがあります。また翌日仕事があるならば、仕事用の衣服を準備しておく必要があります。

 

時間が遅くなると疲れてしまうことがありますから、とりあえず使う物がすぐに出せるようになっていると助かります。他の荷物は後日ゆっくり荷解きをすればいいという、心のゆとりも生まれます。

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